南会津 大内木山(1458.5m)、稲子山(1606.5m)、小沢山(1467m)、山毛欅沢山(1522.5m)、小手沢山(1519.3m)、恵羅窪山(1429.2m)、城郭朝日山(1448.4m) 2015年4月18〜19日  カウント:画像読み出し不能


所要時間

4/18 6:09 小立岩集落(駐車場所)−−6:36 安越又川橋−−8:50 1436m峰(荷物をデポ)−−9:43 小沢山(休憩)−−10:57 稲子山(休憩) 11:50−−12:38 大内木山 14:43−−13:52 稲子山(休憩) 14:41−−15:39 小沢山−−16:00 1436m峰(荷物回収) 16:07−−17:03 山毛欅沢山−−17:06 山毛欅沢山東直下で幕営

4/19 4:56 幕営場所−−5:35 小手沢山−−6:31 恵羅窪山−−8:17 城郭朝日山−−8:26 1340m鞍部(休憩) 9:08−−10:35 恵羅窪山(休憩) 11:10−−12:58 幕営場所(休憩) 13:52−−14:00 1490m肩−−14:26 1285m峰−−14:45 1088m峰−−15:08 国道−−15:12 駐車場所

場所福島県南会津郡只見町/南会津町
年月日2015年4月18〜19日 幕営1泊2日
天候1日目:快晴 2日目:晴後曇
山行種類残雪
交通手段マイカー
駐車場小立岩集落東の雪捨て場に駐車
登山道の有無無し
籔の有無残雪でほぼ籔無し。ごく一部で雪庇崩壊で尾根上の籔を漕ぐ個所あり
危険個所の有無無し
山頂の展望大内木山、稲子山、城郭朝日山は大展望。小沢山、山毛欅沢山、小手沢山は南方向に展望あり。恵羅窪山はイマイチ
GPSトラックログ
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コメント本来は北側の倉谷集落から周回が効率的だが、東京から遠いこと、林道歩きが長いこと、林道の状況が不明なこと(急な雪壁トラバースがあるか)、尾根下部は籔が出ている可能性が高い等の理由で諦めて、小立岩集落から町界尾根に上がり、大内木山方面と城郭朝日山方面に振り分けて往復した。尾根直上は雪が消えて籔が出ている個所も多いが、ほとんどの区間で雪庇が残り籔を回避できた。城郭朝日山手前のピークだけは盛大に籔が出てしまっているので大きく巻く必要あり。雪質は最高に近くワカンは全く使わなかった。無理なトラバースをしなければピッケル不要で歩行技術があれば軽アイゼンで行けると思う。北側の倉谷集落方面から入山したと思われる単独行者のトレースありで小手沢山手前でテント目撃。1436m峰てっぺんにも幕営跡あり。2日間とも天候に恵まれて楽しめた。残雪のブナ林を堪能したいならこの稜線は最適


ルート図。クリックで等倍表示


スタート地点の小立岩集落雪捨て場 今回の装備。ワカンは使わなかったが麦わら帽子は大活躍
除雪終点 安越又川沿いの林道
この尾根を登る 新しい立派な橋で対岸へ
尾根下部は雪なし 尾根下部はペイントあり
山毛欅沢山を見上げる 籔もあるがまだまだ薄い
徐々に雪が出てくる やっと雪が続くようになる
写真では見にくいが文字が彫られている 標高1235m肩
標高1290m肩 右手には山毛欅沢山
振り返ると栃木/福島県境の山々 西には真っ白な三岩岳
もうすぐ町界尾根 町界尾根直下
町界尾根に出て東を見る 町界尾根に出て西側は1436m峰
1436m峰。中央にテント跡あり 1436m峰で荷物をデポ、大内木山に向かう
1436m峰から見た小沢山方面 小沢山向けて雪庇を歩く
小沢山直下 小沢山山頂は地面が出ていた
小沢山付近から見た窓明山
1322m鞍部へと緩やかに下る 鞍部から登りにかかる
1400〜1450m付近は急な登り 傾斜が緩む
振り返る
なおも登る 樹林が切れて広大な雪稜を気持ちよく登る
1580m肩は東へ雪庇が張り出していた 雪庇を避けて南にトラバース
雪庇の切れ目から南西尾根に出る 1580m肩から見た稲子山
稲子山まで雪庇根元を進む 稲子山山頂
稲子山から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
稲子山から見た丸山岳〜会津朝日岳 大内木山へ向けて下る
鞍部付近は雪庇が崩壊して尾根上を進むが籔は薄い 1382m鞍部
再び雪庇に乗る 稲子山を振り返る
雪庇上を進む 大内木山山頂群
東を見ると明日歩く予定の稜線が見えた
大内木山最高点直下 大内木山最高点(1460m)
大内木山三角点へ。籔を避けて西を巻く 大内木山三角点峰(1458.5m)
大内木山三角点峰から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
大内木山から見た稲子山。こちらからは傾斜は緩い
稲子山への登り返し 北側から見た稲子山山頂
この窪みで休憩 稲子山から南を見る
1580m肩から下った雪庇の雪壁 1580m肩から坪入山へ続く尾根
小沢山へ戻る 小沢山山頂再び
小沢山から見た1436m峰 1436m峰で荷物を回収、山毛欅沢山へ向かう
山毛欅沢山への尾根も雪庇が続く 1436m峰から南東に落ちる尾根(往路で使った尾根)
徐々に近づいてくる 広い尾根上の籔はどこもこんな感じで濃くはない
山毛欅沢山手前から西を見る
このピークが山毛欅沢山山頂 山毛欅沢山山頂
風が避けられる幕営適地を探してさらに進む 2人分の往復した足跡
雪庇がずり落ちて尾根で風が当たらない場所で幕営 幕営個所。風除けにぴったりだった
夜明け前に出発 2人分のアイゼン跡(ノラさん&みー猫さん)
1490m肩の西を巻く 日の出
1526m峰から見た小手沢山 緩やかに下る
東には古町丸山 1480m鞍部付近でテント発見
家主はまだ睡眠中 家主の足跡。ワカン+アイゼンらしい
1520m峰への登り 1520m峰から見た小手沢山
振り返る 小手沢山山頂。足跡は西を巻いていた
小手沢山から見た城郭朝日山。遠い 左には目立たない恵羅窪山
小手沢山より先は未体験ゾーンだがこれまでと同じくブナ林 1450m峰群への登り
1450m峰群を西へ進む 奥のピークが恵羅窪山
1450m峰群から見た西の展望。昨日歩いた尾根がはっきりと分かる
1390m鞍部から恵羅窪山への登り 恵羅窪山山頂
恵羅窪山から見た城郭朝日山。まだ遠い この尾根の籔も薄い
相変わらず小さなアップダウンが連続 1446m峰付近から見た城郭朝日山
1446m峰から下っているとクラックで雪庇が分断 籔尾根を進む
1353m峰より先は尾根上は灌木籔が出ているので西を巻く 1330m鞍部の灌木藪。さすがにこれを漕ぐ気にはならない
1360m峰の西側を巻いている最中 1386m峰への登り
1360m付近から見た城郭朝日山 1386m峰も西側を巻いた
1340m鞍部 1340m鞍部でアイゼンをデポ
城郭朝日山への登り 徐々に立木が減ってくる
大きな雪庇の連続 山頂直下の足跡
城郭朝日山山頂 城郭朝日山から北へ続く尾根。かなり籔が出ている
城郭朝日山から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
城郭朝日山から見た浅草岳 城郭朝日山から見た御神楽岳
城郭朝日山から見た丸山岳 城郭朝日山から見た村杉半島の山
足跡は山頂から北西に降りていた 長い帰路に就く
1340m鞍部から見た1386m峰 1340m鞍部から等高線に沿って西を巻く
トラバース中 1353m峰を越えて尾根上に復帰
恵羅窪山から見た小手沢山。遠い 帰路は小手沢山は西側を巻いた
1526m峰も西を巻いた 1480m鞍部で尾根に復帰
テント到着 撤収完了
1490m肩から南へ落ちる尾根を下ることにした
下りで使った尾根に2人分の足跡が続いていた この尾根も落ち着いたブナ林が続く
西を見ると往路で使った尾根が見えた うっすらとスキー跡あり
1340m平坦部 1285m峰手前
1285m峰 1250m付近
1150m付近 1088m等高点肩
標高990mで足跡と別れて南尾根に入る 標高950m付近で雪が途切れる
標高900m付近 標高800m付近でやや左に進路を振る
標高730m付近で残雪を求めて杉植林に 見たことがある建物
赤岩橋 対岸の雪捨て場のマイカー
忘れ去られた馬頭観音 ゴール到着! 直後に雨が降ってきた


 旧伊南町と只見町境界の山々は結構登っているが、只見側に飛び出した山は未踏が多い。大内木山や城郭朝日山はそんな山の一つだ。効率的に登るためには北側の倉谷集落から黒谷川沿いの林道を歩いて大内木山につながる尾根に取り付いて反時計回りで周回するのが得策。しかし林道歩きがやたら長いこと、未除雪の林道の危険度が不明なこと(雪壁になっていることもある)、城郭朝日山から林道へ下る尾根は北向きや西向きで標高も低く藪が出ている可能性が高いこと、東京から車でのアプローチが遠いことが難点だ。

 そこで行程が非効率的になるが南側から攻めることにした。今回の主目的地は大内木山と城郭朝日山なので、出だしはその中間地点付近が望ましい。使い勝手がいいのは小沢山東側の1436m峰へ上がる尾根で、小立岩集落から安越又川沿いの林道を歩いて林道が右岸から左岸へ移る場所が尾根取り付きだ。この尾根は稲子山へ登る際に使っているので様子は分かっているし、川にかかる橋は車が通行できる頑丈なものなので渡渉の心配も無い。

 計画では町界尾根に出たら荷物をデポして軽装で大内木山を往復して山毛欅沢山付近で幕営し、翌日に城郭朝日山を往復して往路で使った尾根を経由して下山だ。同じ尾根を往復なのは味気ないが、標高が高いので藪漕ぎの心配がないこと、ほとんどの歩きはアタック装備でいいこと、林道歩きでヤバい個所が皆無なこと、車でのアプローチは只見と比較すれば格段にいいことなどメリットも多い。

 天気予報はラッキーなことに東北は土日とも良好。日曜日は夕方から雨が降るかもしれないが関東などより降り始めは遅くなりそうだ。今回は行動範囲が広いので地図をA3用紙3枚に分けてプリントアウトした。装備はワカン+ピッケル+12本爪アイゼンとする。スノーシューが修理から上がってきたが、最近はそれほど強い寒気は入っておらず東北南部の標高1500m程度では新雪はほとんど無かったと判断し、スノーシューは車に積まなかった。

 西那須野塩原ICで降りて西会津街道を北上、西に折れて国道352号線を桧枝岐方面へ。国道401号線に合流すれば目的地は近く、赤岩橋を過ぎれば小立岩集落。ここは見覚えがある。川沿いの林道に入ってみたが予想通り集落の少し奥で除雪は終わり。車を置く場所が無いのでバックで戻り、河原に近い雪捨て場に駐車した。かなり雪解けが進んでいたので駐車しても問題無し。この付近では今が杉花粉のシーズンで目が痒いのにはまいった。

 翌朝、朝飯を食って出発。出発時に犬を散歩中のジモティーに遭遇。城郭朝日山の名前を知っているのには驚いた。ここで正しい山名が「じょうかごあさひやま」であることを知った。えらく遠い場所なので気を付けて行ってくるようにと見送られた。

 林道の雪はそこそこ締まってあまり沈まないのでワカンは背中に背負ったまま。両側が杉の植林の場所は早足に通過する。幸い、植林は長くは続かないので助かる。尾根に出れば植林は無いので花粉とはおさらばできる。

 安越又川にかかる橋は架け替えられたようでピカピカの新品に変わっていた。おかげで激流を見下ろしながら左岸側へと渡れた。川岸近くに置かれたJRコンテナの倉庫?を見送って尾根末端へ。予想通り末端の雪は落ちているがこの標高はまだ藪は無いので問題無し。

 取り付きだけ傾斜が急だが尾根に乗れば適度な傾斜が続く。ブナの幹にはペイントがあったり文字を彫った跡があったりとまだ人間の匂いの強いエリアだが、高度が上がるにつれて人の気配は徐々に薄くなっていく。部分的に潅木が出現するようになるが、同時に尾根東側に残雪が続くようになりその後は雪の上を歩いていく。

 植生がブナが中心になるとほぼ全面が残雪に覆われて残雪期の山らしくなる。関東では見られない光景で気分が落ち着く。天候は快晴で日焼け確実なため顔と首に日焼け止めを塗る。今日は今年初めて麦藁帽子を持ってきたので早速頭に載せるが気温が低いので毛糸の帽子を被った上に麦藁帽子だ。これで顔と首の直射日光は防げるが、雪による反射だけでもかなり日焼けするので日焼け止めは必須なのだ。

 尾根の途中にはいくつか肩があるが、基本的には町界尾根までほぼ登りが続く。しかし強烈な傾斜はないので重い荷物でも歩きやすい尾根だ。1230m肩は下りでは明瞭な尾根地形を進んでしまうと違う尾根に引き込まれるので要注意。この付近は既に豊富な残雪に覆われて地面は見えない。

 背の高く発達したブナ林がどこまでも続くため、写真撮影しても同じ風景ばかりで撮影地点の判別が難しいのが泣き所だ。結局、2日間ともこのような風景がずっと続いた。1年分のブナを見たような。

 ようやく町界尾根が目の前に登場。南側から突き上げる格好になるので雪庇が心配だが、ここは太い尾根なので雪庇はごく小規模で簡単に町界尾根に飛び出した。東にはピクっと尖った山毛欅沢山。西は1436m峰で見えない。その1436m峰に登るとてっぺんに幕営跡あり。やはりこの時期は入山者が少なからずいるようだ。幕営するくらいのコースだから今回の私と同じように黒谷川源流部周回か、もしくは坪入山から窓明山の可能性もあるだろう。この時期はコース設定は自由自在だ。尾根直上は既に雪が溶けて地面と藪が出ていたが、町界尾根は笹が中心で藪は薄く無雪期でも歩けそうな場所が多かった。たぶん尾根が広い場所は全部こんな感じの植生だろう。尾根が狭まる場所は潅木藪だろうな。

 1436m峰ピーク付近のブナの根元の雪が開いた個所に荷物をデポ。西寄りの風が強いがこの穴なら荷物が飛ばされる心配は無い。休憩し、身軽になったザックで本日の目的地である大内木山を目指した。

 まずは西隣の小沢山。尾根の南側は緩やかな雪稜が続き、薄いとはいえ藪よりも締まった雪の上の方が歩きやすいので雪の上を辿る。巨大雪庇がずり落ちかけた場所もあったがまだ何とか通行可能で、鞍部付近で1箇所クラックを飛び越えた。この付近の藪は薄いのでわざわざこんなことをする必要はないのだが。

 緩やかに登ると小沢山山頂。何年ぶりだろうか。前回は稲子山に登ったときのはずなのでたぶんガスって何も見えなかったと思うが今回は快晴。ただし尾根北側は濃いブナ樹林で展望は無しで南側には尾根があって一部を木が邪魔しているので大展望というわけにはいかないが、それでも東や西側は見通せる。さすがに三岩岳や窓明山は真っ白。今日は山スキーヤーで賑わっているに違いない。

 小沢山最高点は雪が溶けて地面が出ていた。前回は雪庇が最高点だったように記憶しているがその時よりも雪解けが進んでいるようだ。山頂に赤テープを残して休憩無しで稲子山へ向かう。

 鞍部へも尾根直上は薄い笹藪が出ているので南側の雪庇を下っていく。尾根が広がると全面が残雪に覆われる。鞍部から見上げる稲子山は東側の岩壁が聳えて迫力満点だ。

 鞍部から登りにかかるとこれまでの穏やかな尾根から一変、傾斜がきつくなって尾根も狭くなる。ただし危険なレベルではなく日中の適度に緩んだ雪ならノーアイゼンにキックステップでも問題なく登ることができたし、下りもノーアイゼンで快適に下れる程度の傾斜であった。それまでの尾根が緩やか過ぎると言った方が適当だろう。立ち木も少なく展望が開けた尾根登りは気持ちがいい。前回は真っ白なガスで展望皆無の中を登ったので周囲の様子は分からなかったが、今回は尾根の様子が丸見えで安心感が違う。

 1580m肩直下は雪庇が立ち上がって2,3mの雪壁になっているため南から迂回する。それなりの斜度だが南斜面だから雪が緩んでおりキックステップで問題なくトラバース。坪入山へと続く尾根にも雪庇ができているが切れ目があり、そこから尾根に出た。

 急な尾根を僅かに登れば1580m肩。立ち木は一切無く大展望。ここまで来れば坪入山は間近だ。稲子山へはうねる雪庇が続くので雪庇末端に近寄らないように西側を突っ切っていく。

 稲子山山頂は雪庇の上。ここは東へ落ちる尾根があるので雪庇末端近くでも崩落の心配は無かった。今は地面から2,3mくらい高い位置にいるだろうか。ここも360度の大展望で真っ白な高幽山から丸山岳にかけての長大な稜線が懐かしい。今そこを歩いている人がいるかもしれないな。ここでしばし休憩。雪庇が凹んだ場所があり風除けに最適で日当たりも良かった。ザックと銀マットを敷いて横になったら寝てしまった。

 次は大内木山。本日の折り返し点だ。南北に細長い稲子山山頂を北上、鞍部に向けて残雪を踏みしめて下っていく。適度な傾斜で歩くよりも滑る方が多かったかもしれない。無雪期に薄い藪の中を歩くより下りは格段に早かっただろう。

 鞍部付近は北側の雪庇はずり落ちて崩壊しかけて途中で分断されているので雪が溶けた尾根上を進む。藪があるが薄く歩きやすい場所だ。鞍部から少し登ると北側の雪庇が復活するのでそちらに乗り移る。以降は雪が使えた。

 大内木山は緩やかな2つのピークがあり南側の1460m峰が最高峰だが、地形図では北側の1458.5m三角点峰を山頂としているので三角点峰を目指す。最高峰へ突き上げると西側は樹林で見えないが東の展望は良好。明日歩く予定の山毛欅沢山から城郭朝日山にかけての尾根もはっきり見えている。今日の稲子山のような大きなアップダウンは無さそうであるが細かなピークはいくつもあって城郭朝日山までは遠そうだ。

 三角点峰までは尾根直上は藪が出ていたので西側を巻いてピークへ。こちらはなだらかな雪のピークで最高峰より展望良好。三角点は数mの雪の下なので存在の気配は感じられないが、ここで間違いなし。念のためにGPSで緯度経度を確認すると確かに大内木山三角点峰だった。

 休憩は稲子山で取ることにして写真撮影して逆戻り。稲子山では往路と同じ窪みでひっくり返って休憩。やや風が強くなってきたようで、テント設営場所は風が避けられる場所を探す必要がありそうだ。

 稲子山からの下りは雪庇を巻かずに2,3mほどの雪壁をピッケルを使って下る。幸い、垂直ではなく少し斜めになっていたのでピッケル併用ですんなりと下れた。今回は着地場所の尾根が広いのでこんなことをやる気も出せるが、これが痩せ尾根で万が一滑ったら止められそうにない場合はお勧めできない。登りで苦しんだ傾斜も下りは快適の一言。あっという間に鞍部到着。

 小沢山を通過して1436m峰の荷物デポ地点に到着。既に時刻は16時だがまだ暗くなるまで時間があるし明日の行程も長いので山毛欅沢山まで進むことにする。パッキングし直して重くなったザックを背負って出発。

 小沢山までの尾根のように緩やかに下り、最後は小沢山よりも長い登りが続く。風が避けられる場所を探しながら進んだがイマイチいい場所がない。結局そのまま山毛欅沢山山頂まで進んだ。久しぶりの山毛欅沢山山頂は強風の中だが天気はまだいいままで南側の展望を楽しむ。ここも雪庇が最高地点で少し離れた北側、西側にブナ林が広がる。ここへ来て新しいアイゼン跡が登場。よく観察すると二人が東側から往復した足跡であった。さて、どこから上がってきたのか? それは明日確認するとして時刻はもうPM5時。そろそろねぐらを決めなければならない。

 山頂から下っていくと南側の雪庇がずり落ちて尾根が風をブロックしてくれる場所を発見。ずり落ちたといってもまだ広範囲で尾根に張り付いていてすぐに崩落するような場所ではないので、ここを整地してテント設営することにした。ピッケルで雪を均して設営、荷物を中に放り込んだらまずは水作り。森林限界を超えていないし新雪が無いのできれいな水とは言えないが、表面を少し掘ると白い雪を得られた。明日の行動分を含めて2リットルほど作っておく。今日はドリンクを1リットル持ち上げたが500ccしか使わなかったので、明日の行動分を含めてもこの程度でOKだろう。

 周囲は強風でざわついているがここは風がそよぐ程度で快適な場所だった。夜中は満天の星空で早朝には夏の星座であるさそり座が上がっていた。夜中に寒さを覚えてゴアの雨具や使い捨てカイロも防寒に使用したりしたが、最低気温は0℃ほどだったのでそれほど冷え込みは強くなかったようだ。大型連休に奥利根に出かけるときには夏用シュラフを1枚追加かな。

 腕時計のアラーム音が聞こえずに少々寝坊して4時前に起床。朝飯を食って5時前に出発。今は5時くらいが日の出の時刻なので既に充分に明るい。雪は締まってワカンは不要と判断しテントに置いていくこととしてザックにはアイゼンを入れるが登場機会があるかどうか不明。ピッケルがあるのでたいていはこれで済むだろう。

 まだ風が強い雪の稜線を東へ進み、1490m肩は僅かに西を巻いてしまう。2人分の足跡はまだ続いていて、もしかしたら古町丸山方面からやってきた可能性が出てきた。しかし足跡は町界尾根の1526m峰でぷっつりと途切れ、古町丸山方面にも小手沢山方面にも続いていない。あれ? いったいどこからやってきたのか?? 降って沸いたような足跡だったが下山時に正解が判明する。

 小手沢山手前の1480m鞍部の西斜面に赤いテントを発見。先ほどの2人の足跡が消えてからここまでは新たな足跡は無く、このテントから北側でワカン+アイゼンの足跡が出現したので、このテントの主は北から縦走してきたに違いない。ということは倉谷集落からだろうか。そしてどこまで行くのか非常に興味があったがテント内に動きはなくまだ住人は就寝中らしいのでそっと通過した。いや、熊避け鈴の音はさせていたかな。

 1520峰を通過して次のピークが小手沢山だがその間の雪庇が崩壊していて藪が出ている個所が。前回、小手沢山に登ったときには藪など皆無だったのでやはり今回は雪解けが進んでいるようだ。足跡は小手沢山山頂を西から巻いていたがこちらは山頂を踏むことにして登りつづけ、広い小手沢山山頂に到着。2回目の山頂だが前回の記憶はほとんど残っていなかった。割と立ち木が多く大展望とはいかなかったが東や南などは展望がいい。樹林の隙間から城郭朝日山が見えたが遠くてがっくりきた。しかし今日はあそをこ往復しないと。ここから片道2時間は無理かなぁ。下山は夕方近くになってしまうかも。

 往路は城郭朝日山まで休憩無しで歩きとおすことを決めていたので小手沢山は素通りして先に進む。この先はなだらかな尾根が長く続くため残雪が豊富で歩きやすいが細かなピークがいくつも登場するので精神的に疲れるルートだ。今日も天気は良く落葉したブナ越しに先の尾根の様子がよく見えるし、先人の足跡が正しいルートを教えてくれるのは助かるが、面白さが失われる面もある。

 恵羅窪山までの尾根の様子はどこも同じようなブナ林が続いて変化に乏しいが、地形的に読図が難しい場所はない。素直に尾根上を行くよりも簡単に巻けそうな場所もいくつかあり、帰りに実行したりする。先人の足跡も尾根直上を通るよりも西側を巻き気味に進んでいる区間がけっこうあった。まとまった登りは1450m峰だけで、あとは細かなアップダウンの連続だ。

 恵羅窪山への最後の登りも大した登りではなく、地形図を読みながら歩かないとそのまま素通りしてしまいそうなピークだった。顕著な雪庇ではなく緩やかな雪庇で山頂付近はなだらかな丸いピークだった。周囲はブナに覆われて展望が悪い場所だった。他の山頂と同様に山頂標識や目印は皆無。ここまで来ると訪問者は少ないだろう。南北どちらから攻めるにしろ時間がかかる遠い場所だ。小手沢山から1時間程度かかっていて、この分だと城郭朝日山まであと1時間半くらいかかりそうだ。

 休憩無しでさらに進む。しばらくはこれまで同様に同じような高さの細かなピークを越えていく作業の連続だし、どこまで進んでも発達したブナ林が続き同じような風景の連続で、越えたピークの数を勘定していないと現在位置が把握できなくなるような変化の乏しさだった。ただし、ブナの隙間から見える城郭朝日山の姿は徐々に大きくなってくるのが分かる。このピークだけは周囲のなだらかなピーク群と違って際立った白さに三角形の端正な姿で見間違いようがない。

 これまでは標高差の労力削減で巻くことはあっても基本的に尾根上を進んできたが、城郭朝日山の2つ手前の1360m峰への登りは尾根上は藪が出てしまっているのでそれを避けるために西を巻いた。ピークを巻いて尾根に復帰したが、ここは東が切れ落ちた地形で東側の雪庇は既に崩壊し、尾根直上と西側直下は藪が出ている。藪はこれまで見てきた笹ではなく新潟で見られるような典型的な潅木藪。たぶんマンサクが中心だろう。先を見ても尾根上は同じような状況が続きロング藪漕ぎとなりそうなので西側を大きく巻くことにした。先人の足跡も巻いているようだが、この付近は早い時刻に通過したようで足跡が薄く判別できなかった。ただし、これまでも足跡だけを頼りに進んできたわけではないので問題無し。しかし斜面の傾斜はそれなりにありノーアイゼンでは滑りそうなので12本爪アイゼン装着。過剰装備だがこれで足の変な筋肉に力を入れずとも足を進められる。もっと下れば傾斜が緩くなるが体力的に損をするのでこのまま等高線に沿って進んでみる。こんなときにピッケルが心強い。

 次の1386m峰の向こう側の尾根の状況は不明なので、手前の1330m鞍部から登り気味にトラバース。ピークのてっぺんには登らずに西側を巻いて北側に出るが、これまで同様に尾根は藪が出しまっているので斜面をトラバース。こちらは傾斜が緩んで歩きやすかった。

 城郭朝日山手前の1340m鞍部で尾根に復帰して振り返ると、ここから1386m峰まで尾根上は全て雪が落ちて潅木藪のオンパレードだった。ここは西を大きく巻くいて正解だった。もうアイゼンの出番はないだろうと鞍部にデポし、城郭朝日山を目指す。遠めに見て分かっていたとおり立ち木が少なく雪庇が発達した尾根で藪は皆無で快適な登り。展望も非常にいい。そして最後にほとんど立ち木のない雪原を登りきると待望の城郭朝日山山頂に到着!

 今の時期は雪庇が山頂で展望は360度。南を見ると山毛欅沢山が遥かに遠く小さく見えて悲しくなる。あそこまで戻るのかぁ。こりゃ、本当に下山は夕方近くなるかも。連続トラバースから先人の足跡は見えなくなり、1340m鞍部で尾根に復帰してからも足跡が無かったが、山頂には昨日か今日のものと思われる足跡があった。複数人っぽいがもしかしたら単独の人の往復かも。山頂付近で歩き回った足跡があったが下へ続くのは北西尾根のみ。北へ続く尾根には足跡がなかったし、かなり藪が出てしまっているように見えた。大型連休だと苦労するかもしれない。

 山頂だと風を避けられる場所がないのでアイゼンをデポした1340m鞍部まで戻って休憩。まだまだテントまでの戻りが長いのでゆっくりと休憩。昼飯も食う。水は500ccしか持ってこなかったがちょっと不足かな。復路では時々雪をかじりながら水分補給した。

 1386m峰と1360m峰のトラバースはできるだけ等高線に沿って水平移動。往路はもっと上を通ったがそれよりは効率的だったが、さらに傾斜のきつい斜面を横断することになってあまりお勧めできない方法だった。

 長いトラバースを終えて尾根に復帰、アイゼンを脱ぐ。もうこの先はアイゼンの出番はないのでザックに収納。テントまで長く細かなアップダウンが続く尾根であり、労力削減のためできるだけピークをこの巻くようにしたが全てのピークを巻けるわけではないので疲れる。これで雪質が悪かったら最悪だが、昨日今日とつぼ足でほとんど潜ることがないので雪質が非常に良好と言っていいだろう。

 恵羅窪山でたまらず休憩。上空は雲が多くなってきたがまだ薄日が差したり時々青空のエリアがここまで押し寄せてきたりするので、もうしばらくは天気は持ちそうだ。北側は青空で南が曇り。南や西から前線の雲が上がってくるようだ。

 恵羅窪山以降もできるだけピークを巻き、復路は小手沢山やその南のピークは西側から巻いてしまう。やっと自分のテントが見えてほっとする。まだ薄日が差しているので休憩しながらテントの虫干しができる。まずはテントの中身を出して潅木の上にひっくり返して虫干し開始、その後片付けをして最後の飯。これで全て食いつくして多少は軽くなった。結局、ワカンは1度も使わずじまいだった。

 休憩しながら下山ルートを考えた。城郭朝日山の往復でかなり疲れたのでもう登りは勘弁してもらいたい気分だ。どこか適当な尾根がないか地図で探したところ、ここから東の1490m肩から南に伸びる尾根なら赤岩橋までつながっていて、途中に大きな登りはないし最適だと分かった。雪に埋もれた平らな林道歩きは結構疲れるが、下り坂だったら問題無し。この尾根の方がお得に違いない。そうと決まれば決行あるのみ。

 14時ちょっと前に出発。雲は徐々に厚くなり南や西の方では霞んで見える場所も出てくるようになったが、そこでは雨が降っているのだろう。ここが雨になるのも時間の問題かもしれないが、テントが乾いたのでまあいいか。車に到着すれば着替えがあるので下山時に多少濡れても問題無し。

 やや緩んできた雪の上を緩やかに下って少しばかり登り返して1490m肩。ここから南に派生する尾根に乗るが雪庇の雪壁ができていないか心配だったが、合流する尾根は太くて雪庇はなかった。その代わり予想しないものがあった。2人分の往復の足跡だ。ということは山毛欅沢山山頂で見た2人の足跡はこの尾根を往復したのだった。他に古いワカンの跡があったが、これはほとんどかすれて見えなくなっていた。

 足跡は最後はどこに出るのかわからないので読図しながら進んでいく。といっても落葉したブナで明るい尾根なので、先の様子が良く見えて地形図見る頻度は非常に少なくて済んだ。それに右手には倉渕山から下りてくる顕著な尾根が見えていて、その末端が小立岩集落なのでいい目印になった。おまけに太くて顕著な尾根だから間違える要因が少ない。

 途中にチェックポイントのような平坦部と小ピークがあって現在位置の確認が可能だ。高度計も校正しておく。この尾根もブナが中心で明るく展望がよく歩いていて気持ちのいい尾根だ。2人の新しい足跡、古いワカン跡の他に微かにスキー跡が見られた。これは今週末のものではないだろう。

 2人の足跡は私の目的地と同じ方向へ延々と続いていた。まさか赤岩橋から往復か? 1285m峰てっぺんは藪が出ていて東の雪を伝う。1088m標高点からは尾根分岐に気をつけながら下る。高度が1000mを切って左になだらかな斜面状の広い尾根が分岐する個所で足跡はそちらに下っていた。この先は私は南に向かうがトレースは無いが尾根形状は明瞭なので間違う心配はなさそうだ。

 徐々に雪が減っていくのが分かり、標高950m付近でいったん雪が消えて地面歩きに変わる。下りの場合、雪があった方が着地の際の足へかかる衝撃が雪が崩れることで吸収されるのでとても足にやさしく疲れにくいのだが、無雪の地面は膝で衝撃を吸収する必要があるので疲れる。その後部分的に雪田が現れるとそこを通過するようにした。この標高だと植生は大した藪ではなく背の高い落葉樹が中心で、地面付近の細い潅木はそれほど多くはないので歩きやすかった。

 さらに高度を下げると傾斜がきつくなり、できるだけ緩やかな場所をめがけて左へトラバース気味に下っていくと、左手に杉植林帯が登場しその地面にはたっぷりと残雪がある。この傾斜なら残雪の方が格段に歩きやすいのでそちらに乗り移ってガンガン下る。もう雲って日差しが無い影響か、花粉は感じなかった。

 杉植林を下っていると小さな建物を発見。しかも見覚えのある物体。そうだ、すっかり忘れていたが初めて山毛欅沢山に登ったときは赤岩橋からこの尾根を登ったのだった。今頃になって気付くとは我ながら記憶力が低下しているなぁ。

 最後は潅木に埋もれかけた馬頭観音の石碑から国道へ1mほどの法面を飛び降りて着地。雪捨て場のマイカーがしっかり見えていた。車に戻って荷物整理をして着替えていると雨が降り出した。絶妙のタイミングで到着したようだ。どうも予報より降り出しが早かったようだが助かった。この雨は一時的で夕方には上がってくれた。

 帰りはたかつえスキー場併設の「白樺の湯」で2日間の汗を洗い流した。今シーズンのスキー場の営業は既に終了していたが温泉は営業していた。ただし無人で料金箱に自分で\500を入れるようになっていた。ちょうど500円硬貨があったので投入。無人の温泉を貸切で楽しめた。

 

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